WANDERLUST
SYNDROME
ワンダラスト シンドローム

天災と金欠の二重苦、禁煙という不本意な苦行に身を投じる

2025.03.09

2025年3月9日。ブリスベン近郊に、半世紀ぶりのサイクロンが傲然と上陸を果たしたそうだ。

どうしてこうも行く先々で災害が付きまうのか、、ことごとくついていない。

店はことごとくシャッターを下ろし、空っぽのスーパーの棚を眺めるのは、これで二度目だ。またしてもツナ缶を友とする日々に逆戻りとは、涙すら枯れ果てる哀れな我が身よ。

サイクロンの影響でタバコが入手困難に。。

そんな嵐の只中で、ついに心の拠り所だったタバコのストックが尽きたのだ。店はみな扉を閉ざしている最中、暴風雨が猛り狂う外へ出るなど、到底正気の沙汰とは思えない。

嵐の中、手に入るかもわからぬニコチンを追い求め、亡者の如く彷徨う道を選ぶか、それとも大人しく我が陋屋に籠もり、嵐が鎮まるのを待つべきか、心は揺れに揺れていた。この滑稽極まりない苦悩に身を焦がす中毒者の姿を、いったい誰が憐れみの目で見つめてくれるというのか。

禁煙への誘いか、神のお告げか:この機を巡る一考察

オーストラリア、このタバコが高嶺の花と化す異邦の地。世界一の値札が煙草に貼り付き、財布を破壊し、天災までが追い打ちをかけて私からタバコが遠ざかってゆく。いっそのこと禁煙でもしようかと脳裏をよぎってしまった。

そこへ禁煙の神が颯爽と現れ、『今だ、煙を捨てなさい』と背中をドンと押し、腕を組んで『どうだ、俺の采配は』と言わんばかりに得意げな顔を浮かべている幻影が目に映った。

この好機を逃せば、私は煙の鎖に繋がれた哀れな奴隷として、永遠にニコチンの王にひれ伏すことになるだろう。そして私の肺を漆黒に染め上げるまで、禁煙の舞台が再び訪れることはないに違いない。

さて、何度目かもはや定かではないが、今度こそ終止符を打つ。

友(タバコ)よ、さあ、訣別の時が来た——と、心は高らかに宣言するが、この手はまるで裏切り者の密偵のように、煙の誘惑を口元に運ぶ隙を伺っている。

     
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