異国の土地でいきなりロングツーリングをした話【走行距離1100km】
2024.09.20

異国の地でいきなりのロングツーリング

『バイクのピックアップ先が遥か彼方の街「Yeppoon -ヤプーン-」にあるから取りに行くだけの話』ではあるのだが、いかんせん距離がバグっている。
走行距離はなんと約1100km。日本に置き換えると青森から四国までの距離になる。マップで見ると近く見えるが距離を測ってみると途方もない距離なのがオーストラリアであり、雄大すぎる土地に少しの畏怖を覚えた。ヤプーンという名の響きが、どこか遠くの冒険を約束するかのように、私の胸をざわつかせている。取りに行くだけ、ただそれだけの話が、かくも壮大な試練に思えるとは。オーストラリアよ、お前はあまりにでかすぎた。
マリーバからヤプーンへ
まずはマリーバからケアンズ空港へ向かわねばならない。朝イチの5:50、Uberタクシーに身を委ね、眠い目をこすりながら移動を開始した。バスならば安上がりだったろうに、スケジュールの都合上それは叶わず、泣く泣くタクシーを選んだのだ。かかった金額、AU$120。高い。あまりに高いではないか。私の財布が悲鳴を上げているのが聞こえてくる。
ケアンズ空港からブリスベン空港へは飛行機で飛び、9:20から11:15までの空の旅。そしてブリスベン空港で乗り換え、12:55発の便でロックハンプトン空港へ向かい、14:15に到着。航空券はAU$278。そこからヤプーンまでは、バイクの売り手たる親切な買い手に自宅まで送ってもらった。総額、AU$398。あぁ、高くついたものだ。
売り手と会い、インスペ開始
長い道のりを経て、やっと辿り着いた時の達成感たるや、私はこのなんとも言えない高揚感が好きだ。売人はオージーの方でとても気さくな方で私の拙い英語にも付き合ってくれた。色々なパーツをつけてくれてまさに至れり尽くせり。そしてなぜかオイルフィルターを20個ももらってしまった。果たして使い切れるのか笑。。なんにせよありがとう、リアム。
私が点検した箇所は以下。
- クラッチ
- ブレーキ
- オイルの点検と交換時期
- タイヤの溝
- 外装の欠損があるか
- バッテリー
- チェーンの張りと劣化具合
素人目ではあるが非常に状態が良く試乗した感じも全て問題なかったため、現金AU$5000を支払い購入に至った。
名義変更をしに役所へ
ヤプーン市街の役所で売り手の方と一緒に名義変更をしに行ったが、思いの外すぐに完了した。
必要だったものは以下。
- 日本の運転免許証(国際免許も)
- パスポート
- クレカ2枚
ヤプーンからマリーバに戻る果てしない旅の始まり

さて、ここからが真のデモンズソウルである。 去り際に「カンガルーに気をつけろ」とリアムに言われたときは、「まさかそんな運悪く遭遇せんだろう」と高を括っていた。だが、その慢心は脆くも崩れ去った。夜中、闇を切り裂くように運転していると、道の脇にカンガルーらしき影がチラリと浮かんだのだ。心臓が跳ね上がり、速度を落とし、最悪の事態を避けるべく慎重に通り過ぎた。ことなきを得たものの、道路には無数の動物の亡骸がライトに照らせれ、まるで死の警告のように私を睨んでいた。「これは洒落にならん」と心底思った。特にバイクで走るなど、死にゲーよろしく一歩間違えばカンガルーとごっつんこ。人生ゲームオーバーである。
オーストラリアとは、想像を絶する雄大さを持つ土地である。延々と続く草原を疾走する経験は、確かに他では味わえぬものだった。だが、信号も建物もない道が100キロも続くと、流石に恐怖が募ってくる。もしガス欠やマシントラブルに見舞われたら、目も当てられぬ惨状が待っているではないか。ガソリン携行缶とレッカー保険、これらは最早必須の装備なのかもしれぬと、今更ながら思い知った。
帰路には観光スポットを巡るつもりだったが、熱中症気味になり、そんな気力は雲散霧消。一刻も早く帰って眠りたかったのだ。暑い、暑すぎるぞ、オーストラリア。昼は灼熱に焼かれ、夜は明かり一つない闇と寒さに震え、カンガルーの影に怯える始末。なんたる本能的な恐怖か。私はこの広大な大地に、畏敬と苛立ちを同時に抱きながら、ただただ家路を急いだのであった。

ウルルまでバイクで行くのは相当の覚悟が必要かも
QLDの街からウルルまでは、GoogleMapによれば片道約2700キロもあるという。気軽に「ちょっと行ってくるか」などと言える距離ではない。今回走った海沿いのルートですら、なんとも虚無的な何もなさに打ちのめされたというのに、荒野のど真ん中ともなれば、更なる虚無が待ち受けていることは火を見るより明らかだ。気温は灼熱の極みに達し、インフラなど夢物語のごとく整備されていないだろう。私の貧弱な肉体と精神が、そんな過酷な試練に耐えうるとは到底思えない。
だがしかし、ウルルである。あの赤き巨岩は、アボリジニの聖地にして、地球のおへそとも称される神秘の存在だ。そんな場所へ、バイク単身で果敢に挑むというのは、そこはかとないロマンが漂う話ではないだろうか。荒野を切り裂き、汗と埃にまみれながら、遥か彼方の聖なる岩を目指すその姿は、さながらMADMAXようで心が踊る。
いつ行くかはまだ決めていない。行けたら行こう、などと曖昧な決意しか持ち合わせていないのが、我が性分の悲しいところだ。だが、いつの日か、ウルルの影が地平線の彼方に浮かんだとき、私はそのロマンを胸に、新たな相棒とともに駆け出すのかもしれない。さあ、どうなることやら。


